オーストラリアに生まれ、レッド・ツェッペリンやトリ・エイモスの影響を色濃く受けたというナデア。
イギリスでの生活を経て、パリにたどり着いた彼女が選んだのは、ブルージーなジャズの世界。
まるで私小説のようなデビュー・アルバムを引っさげ、ついに日本デビュー!
1. Odile
2. Suddenly Afternoons
3. Whatever Lovers Say
4. At The Moment
5. An Asylum On
6. Tell Me
7. Scary Carol
8. Hurricane Katrina
9. Song I Just Wrote
10. I Burned Cowboy At
11. Even Quadriple -Gics Get The Blues
ステージ上でのナデアは、まるで「何が起ころうとも、ぜったいに上手くやってみせるわ」という彼女のモットーを上手く体現しているようである。長年、オルタナティヴなスタイルを得意としてきたナデアならではである。幼いころ、母親のレコード棚から引っ張り出して聴いていたピンク・フロイドとレッド・ツッェッペリンに感銘を受けてから、ロックの魅力にハマりはじめる。その後、連れられて行ったミシェル・ショックドのコンサートを観て、「大きくなったら私もこんな風になる」と決心。アメリカン・フォークとパンク・スピリットを融合させたミシェルのパフォーマンスに大きな影響を受けたのだった。十代だったナデアは独学でギターを覚え、自ら歌いながら心地よいコードを探していった。ナデアのインスピレーションの源は偉大なるシンガー、レオナルド・コーエンやトリ・エイモス。コーエンのように、キャンバスを彩るように詩を紡いでいく才能と、エイモスのように邪念を追い払うような楽曲作りを目指したのだった。そうしてナデアは、過去の嫌な経験をも美しくエネルギーに溢れた歌詞に変え、困難な出来事すらも、捻りの効いた詞でユーモアと美しさを纏わせることが出来るのだ。ナデアの歌は、すべて自分の経験に基づいて作られている。ファンタジックなイメージを伝えると同時に、移民の家系としてオーストラリアに育った不安定な史実さえをも歌詞に変えているのだ(ナデアの母親はインド、ポルトガル、イギリス、セビリアの血を引き、父親はイタリア人である)。
ナデアが最初に組んだバンドは<LoveGods>。イギリスで結成し、ナデアがパリの路上で歌っているときに知り合ったというフランス人ギタリストとパートナーを組み、イギリスで影響力のある有名ラジオ局 <Radio One>にて楽曲がプレイされると、ニック・ケイヴやフランツ・フェルディナンドまでもがその才能を賞賛した。その後、満を持して2枚のアルバムをリリースするも<LoveGods>は急な解散を強いられ、ナデアは自分のギターを片手にパリへと引っ越すことに。パリにて、ナデアは再び幸運を手にすることになる。カフェで働くうちに出会ったクラシック音楽の指揮者であり作曲家でもあるニコラ・タスカーリに感銘を受け、ナデアは、都会の明かりとフランスのカルチャーに揺さぶられた感情を歌に表したのだった。その後、ほどなくしてヌーベル・ヴァーグのプロデューサー、マーク・コリンがナデアの評判を聴きつけ、彼女のステージに駆けつけることとなる。ナデアの歌声と才能に惚れたコリンは、ナデアを(ヌーベル・ヴァーグとは別名義のプロジェクト)「ハリウッド・モナムール」コレクションに抜擢。そして、ヌーベル・ヴァーグの3rdアルバム『3』にはナデアを正式にメンバーとして迎え入れたのだった。
この3年間はヌーベル・ヴァーグのツアーで世界中の各都市にてパフォーマンスを披露。メスの虎のような荒々しさも見せ付けつたかと思うと、PJ・ハーヴィーやジュリエット・ルイスのようなフェミニンな様子も見せながら、オリジナリティを充分に出し切ったステージを披露した。同時に、ヌーベル・ヴァーグのツアーの間に自身のアルバム『Venus Gets Even』を仕上げた。ときに自叙伝的な歌詞も含む『Venus Gets Even』はナデアの魅力をそのままパッケージしたような作品だ。“Pinot Noir & Poetry for Breakfast” の歌詞はナデア自信が体験した実話に基づいているものだし、同時に、彼女のインスピレーション源にもなっているというマリリン・モンローの魅力をも体現している。ショートフィルムや舞台のシナリオのようなナデアの歌詞。“I Burned a Cowboy at the Melbourne Airport“(メルボルン空港でカウボーイを燃やしてやったわ)なんて過激なものもあれば、亡命中の身のまま、保護施設で新年を迎えたという友人のことを歌ったドラマティックなものもある。それらの詞はまるであざやかに輝く布で覆われたような光を放ち、生き生きとして実に魅力的。そんな楽曲を引っさげて、ナデアは今日もステージに立つ。「何が起ころうとも、ぜったいに上手くやってみせるわ」という彼女のモットーとともに。