2014年2月2日、46歳の若さで亡くなったフィリップ・シーモア・ホフマンが遺した最期の主演作『誰よりも狙われた男』。
原作は『裏切りのサーカス』の大ヒットが記憶に新しいスパイ小説の大家ジョン・カレ。 テロ対策を軸にした9.11以降の現状の諜報戦をリアルに描き出し、冷戦自体の東西対立を描いた往来のスパイ映画と一線を画す。
酒とタバコを手離さず、組織との軋轢と闘いながら、己の信念を貫こうとする諜報員の孤高の凄みや哀愁、人間臭さを、ホフマンはこれ以上ない深みある演技で表現し、観る者を魅了する。
そして、音楽を担当するのは、『Uボート』では俳優としても活躍していた、ドイツ出身のヘルベルト・グレーネマイヤー。
重厚で緊迫感のある音楽は、フィリップ・シーモア・ホフマンの心情を表現する。