デビュー50周年を迎えるブラジリアン・ミュージックの女王、ジョイス・モレ―ノ。本作は彼女が1968年に発表した偉大な処女作『JOYCE』をセルフ・リメイクした画期的な作品。瑞々しいヴォーカルとギター・サウンド、生き生きとした歌詞が高く評価された『JOYCE』を、デビュー50年を経た彼女が自ら新たな息を吹き込んだ。2017年、ともに来日公演を行った注目の男性サンバ・シンガー、ペドロ・ミランダ、実力派女性シンガーのゼリア・ドゥンカンがゲスト参加している。
生真面目なジョイスは、自らを作曲家だとは考えておらず、なおも二曲の新曲を作り上げた。“Com o Tempo”はゼリア・ダンカンとの共作で、ゼリアはヴォーカリストとしても参加しており、ジョイスは時間の流れについて歌っている。サンバの主張が強い“Velha Maluca”では、今回『50』を制作した観点において、彼女の音楽の系譜について歌っている。
『50』から感じ取ることができる、彼女の大胆な音楽性。ひとつは、ジョイス自身がどのように音楽的な進化を遂げたか、ということ。1968年、少女時代のジョイスの歌声の片りんを、いまだ感じることが出来るだろう。また、その歌声は、ブラジル音楽界において最も確実で完璧なものでもある。もちろんそれは、ジョイス独特のスウィングや節回しにおいても同じことが言える。そして、1968年にヴィニシウスが「素晴らしいハーモニーと模範的なリズム」と称したギターの音色は、そのままブラジリアン・ギターの教則としても機能し、最初のコードからジョイスの独特で特徴的な音色を感じることが出来る。
アルバムの中でさらに特徴的なのは、誰にも真似できないバック・ミュージシャンらとのハーモニーである。エリオ・アルヴェスのピアノ、ホドルフォ・ストロエテルのベースに、トゥチ・モレーノのドラム。彼らの楽器とともに、サンバとジャズをミックスさせたグルーヴが生まれる。そしてそのグルーヴが、1968年にガヤ&ドリ・カイーミが書き上げたクラシカルなアレンジと美しく混ざり合うのだ。ジョイスがこのアルバムの再録を決心したのは以下のような理由によるものだ。自身にとって初めての、そして未熟だったゲストとともに、また、自身の右腕ともいえるギターとともに創り上げたアーティスティックなプロジェクトを再び完成させること。50年を経て、再び輝きを増すジョイスの著作には敬意が満ちている。
Track List.
01. NAO MUDA NAO
02. BLOCO DO EU SOZINHO
03. IMPROVISADO
04. ANSIEDADE
05. SUPEREGO
06. CANTIGA DE PROCURA
07. CHORO CHORADO
08. AVE MARIA
09. ANOITECEU
10. LITORAL
11. ME DISSERAM
12. COM O TEMPO
13. A VELHA MALUCA
ジョイス・モレーノ『50』※帯付き国内盤仕様輸入盤
発売予定日:2018年8月24日(金) 定価:2,500円(抜) 品番:RBCP-6803 JAN:4545933168039