Clement Vaché(クレマン・ヴァシェ)
世界的に人気のパリのセレクトショップ、コレット。その音楽担当兼タレントスカウトとして、コレット・ブランドを築き上げた張本人。
カルチエ、サンドロ、プチバトー、マージュ他のファッションショーの音楽を担当し、現在ではヨーロッパそして世界中の最先端と呼ばれるクラブやリゾートホテルにてプレイする傍ら、フランスの大手ファッション・ブランド、老舗百貨店、リゾートホテルのBGMを手がける業界きってのBGM事業者、MusicWorksを経営。Music Worksの正規代理店としてパートナー契約を結んだランブリング・レコーズは、MusicWorksのマーケティング・サポートを行う他、クレマンの卓越した音楽センスは、3時間分のノンストップミックスとして、シーズンごとにランブリング・プレイヤーから提供されます。
What’s colette?
惜しまれつつ閉店したパリの世界的人気ショップ。ルーブル美術館近くのサントノレ通りに店舗を構え、パリのトレンドを世界に発信し続け、ファッションはもちろん、コスメ、アート、本など多岐に渡るジャンルのセレクトを展開。また、世界的有名なアーティストもライブやパーティーを行うなどブランドイメージは世界最高級であった。
―キャリアについて簡単に教えてください。
パリを拠点に20年ほどDJをしています。もともと自分のレコード・ショップを運営していて、そのうちにパリのセレクト・ショップ、coletteで働くようになりました。
―coletteでは具体的にどんな仕事に携わっていたのですか?
音楽部門で働いていて、CDをセレクトしたりインストア・イベントを仕掛けたりしていました。coletteで過ごした10年間はまさに激動、という感じでしたね。それまで、パリのアンダーグラウンドな音楽の仕事をしていたのが、ファッションやアートの世界とも関わるようになった。パリの無名なアーティストからドレイクやファレル・ウィリアムスといった世界的に有名なアーティストまで、たくさんの異なるタイプのアーティストを呼び、たくさんのインストア・イベントも行いました。たまにクレイジーなほど忙しいときもありましたが、有名であれ無名であれ、僕たちはいかなるアーティストも平等に扱ってきたという自負があります。coletteで働いているあいだ、最初は無名だったアーティストが、有名になっていく様子を見ることが出来たのは、とても意義深く感じましたね。
―音楽シーンとファッション・シーンに共通しているものがあるとしたら、何だと思いますか?
音楽もファッションも、根底にあるのはクリエイティヴなアイデア。ファッションはいつだってクリエイティヴであらねばならないし、音楽も同じ。とくにパリではファッション、そして音楽に絡んだ仕事をしている人はとても多いし、両者にはとてもいいコネクションが生まれていると思う。coletteにも、毎週のようにデザイナーたちがやって来てCDを買っていた。きっと、音楽を聴くことで養われる感覚が彼らのクリエイティヴィティーのヒントになっていたのだと思います。
―Rambling Playerにおいてはキューレーターとして参加して下さっていますが、感想などあれば教えてください。また、今後の音楽業界とファッション業界の結びつきについて、どうお考えですか?
Rambling RECORDSとの仕事は、自分が発見したものや好きなものを、Ramblingのメンバーとシェアしているような感覚ですね。それに、Rambling Playerで実現しようとしていることは、音楽ビジネスの新しい形だと思っています。今や、人々は音楽を買う、ということをしなくなった。みんな、サブスクリプションのストリーミング・サーヴィスで音楽を聴いて、買うのはヴァイナルだけという、とても極端な傾向にあると思います。だから、音楽業界もすっかり変わってしまったし、もはやレコード会社も、レコードを売ることが目的ではなくなってしまった。音楽業界は、いい意味でチャレンジの時期にあると思います。ファッションも同じで、ブランド力や、小売り店へのアプローチという点においても変革のときにある。今、ファッション業界の顧客にとって、リアルなショッピング体験というものは、より大切なファクターになっていると思います。ブランド力を大事にし、リアルな店舗で直接顧客と会話をして、そのブランドが何なのか、どんなライフスタイルを提案するのか、そういったことを伝えていかなければいけません。その点において、音楽はそのブランドの価値を伝えるランドスケープになるんです。ファッション・ブランドのリアル店舗に足を踏み入れたときのファースト・インプレッションが音楽そのものなんです。Rambling RECORDSはファッション・ブランドにおけるコミュニケーション力や、単純にモノを売るだけではダメだといった経験にも長けています。ブランドに付加価値を与えるという意味でもRambling Playerは有効だと思いますし、今後も楽しみですね。